工事受注上の大きな落とし穴
工事受注最大の難敵は設計ミス
工事の受注業務は、受発注業務の中でもデジタル化や自動化が進めにくい業種であり、設計図に基づいて業務を行う関係上、専門的な知識を要し、特に設計図の正誤確認のような作業は自動化が難しく、現時点における技術力の限界から、どうしても人手が必要となることは避けようがありません。
問題は設計図の正誤確認が工事受注におけるトラブルの主要原因の一つであることであり、受注した工事の失敗原因として設計図のミスや設計図の確認不足など、設計図に起因する失敗は枚挙にいとまがありませんし、工事受注に限っては、設計を兼ねることが多いことから、設計図にミスがあった場合も、工事を受注した側に施工責任を問われるという、致命的なリスクを伴うことから、設計ミスは工事受注における最大の難敵と言えるのです。
工事受注に際しての責任の所在
平成の中頃まで、工事の受発注における責任の所在は受注者への比重が重く設定されており、着工ないし施工後に設計ミスが判明した際、設計に関わっていなかった場合であっても、受注者に責任が問われ、設計ミスが明らかであっても責任の所在がうやむやになるなど、発注者の責任が問われにくいのが一般的でしたが、法改正によって設計ミスの責任の所在が明確化され、発注者側へ責任の比重が多少傾きました。
結果として、以前に比べると受注者側の負う、工事責任の比率は多少軽くなりましたが、設計ミスに際し、責任の所在こそ明らかになり、発注者側にも責任が問われるようになったとはいえど、建設業の業務構造上、未だに設計ミスの責任は工事の受注者が負うところが多く、設計ミスを発見できなかった責任を問われるため、工事発受注における責任の多くは受注側が負うことになります。